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第4回FIBA ASIAカップ 閉幕 決勝戦、日本はイランに51-53で惜敗し、2大会連続準優勝

2012年9月23日

 「第4回FIBA ASIAカップ」は最終日を迎え、上位8チームが続々と順位を決めていく中、ファイナルゲームに向かうにつれて続々と観客が入ってきます。3位決定戦フィリピンvsカタール戦が終わり、3位となったカタールが歓喜の輪を作り終えた頃には、多くのファンが会場を埋めていました。そして、いよいよFIBA ASIAカップ初優勝へ向けて、イランとの決勝戦が始まります。両チームともファンの大きな声援を受けながら16時30分、ティップオフ。

 固さが見える両チーム、そして負けられないためにもディフェンシブになる決勝戦。「アジアチャンピオンの実績持ったチームであり、今大会No.1チームであり、世界選手権やオリンピックを経験しているイランと決勝の舞台で戦えたことをうれしく思います。どちらに転ぶか分からないクロスゲームができたことに喜びを感じています」と話した鈴木 貴美一ヘッドコーチ。開始2分25秒、ようやくイランのシュートが決まると、手に汗握るクロスゲームが幕を開けました。前半、日本はファウルをもらいフリースローを得ましたが確率悪く落としてしまい、23-30。「前半は戸惑いながらプレイしていたのがチームに伝わり、シュートパーセンテージが落ちてしまった気がします」と振り返るのは#11桜井 良太選手(レバンガ北海道)。イランに7点リードされて前半が終了しました。

 ハーフタイム中、「オープンのシュートは思い切って打て。タイミングが良ければ躊躇せずにシュートを打ち、パスをするな」と、鈴木ヘッドコーチの指示を受けて後半がスタート。「予選ラウンドでは、日本がリードしていましたが、今回は逆に相手にリードされる展開でしたので、その状況でもディフェンスでリズムを作っていくことだけを意識していました」と言う#14 金丸 晃輔選手(パナソニックトライアンズ)が、3Pシュートでイランを捉え、32-32同点。さらに第3ピリオドだけで3本の3Pシュートを沈めて逆転の立役者となった#14金丸選手。44-40と日本がリードし、最終ピリオドへ向かいます。

 イランに3Pシュートを決められ44-45、第4ピリオド早々に逆転された日本でしたが、#11桜井選手が連続でオフェンスチャージを奪い追加点を許しません。残り5分55秒、#14金丸選手のシュートで再びリードした日本。追加点が欲しい両チームでしたが、なかなか得点できない時間が続き、ようやくネットを揺らしたのは残り3分17秒、#12桜木ジェイアール選手(アイシンシーホース)でした。48-45、日本が3点リード。イランに得点を返されるも、残り1分25秒、#4古川 孝敏選手(アイシンシーホース)が3Pシュートを決めて51-47、点差を4点に引き離します。しかし、諦めないイランはビッグマン#12KARDOUSTPOUSTINSARAEIが、#10竹内 公輔選手(トヨタ自動車アルバルク)にファウルを受けながらバスケットカウント3点プレイを決め、51-50。1点差に迫られ、残り時間は1分8秒。突き放したい日本でしたが、#12桜木選手のシュートは外れ、イランに攻撃権が移ります。残り18.3秒。ディフェンス、ディフェンスと、大歓声が会場をこだまする中、イラン#5DAVOUDICHEGANI選手が3Pシュートを決め、その歓声を悲鳴に変えました。残り8秒。日本は最後のタイムアウトを取り、逆転を目指します。「最後のプレイでは、ファウルをもらえたら良いとも思っており、無理に3Pシュートにはこだわっていませんでしたが、古川選手がタイミング良くボールをもらってシュートを選択しただけです。後輩たちは頑張ってくれました。逆に僕のような経験ある選手がもう少しできていればと、今日は申し訳なく思っています」と話す#10竹内選手。逆転を狙った#4古川選手の3Pシュートは外れ53-51、たった1ゴール差でイランに敗れ、日本は初優勝を逃しました。

 試合を終え、鈴木ヘッドコーチは、「フリースローが入りませんでしたが、これも力です。シュートがあの時に入っていればというは全くの言い訳にしか過ぎず、入らないのが今の実力です。もうワンランク上に行けるようにしたいです。そして今後、相手もワンランクも、ツーランクも上がって行くでしょうが、それに耐えられるチームになるよう、来年に向けて頑張っていきたいです。選手たちはこれまで厳しい練習に耐えてくれましたし、僕の要求を一生懸命に徹底してくれたことは感謝しています。このチームの今後がまた楽しみです」と選手を労い、さらなるレベルアップを目指しています。

 桜井キャプテンは、「決勝戦で強い相手であるイランと対戦することができ、今の段階で持てる力を全員が出せたと思います。もちろんこの結果に満足しているわけではありませんが、これまでの代表生活の中でも、充実した合宿を送ることが出来ました。ここで代表活動はいったん終わりますが、選手各自がしっかりと継続して行き、来年もっと良い結果を出せるようにしたいです。まだまだ若いチームであり、自分も含めて大事な場面で決めきれませんでした。イランは経験豊富であり、最後の場面でしっかりノーマークを決めてきました。その経験の差が出た試合でした」と、決勝戦、そして今年度の日本代表活動を振り返りました。

最終日(9月22日) 試合結果
7位決定戦 ●ウズベキスタン 73-84 レバノン○
5位決定戦 ●チャイニーズ・タイペイ 63-67 中国○
3位決定戦 ●フィリピン 63-79 カタール○
決勝 ○イラン 53-51 日本

大会MVP・ベスト5
【MVP】
#14 Mohammad Samad NIKKHAH BAHRAMI選手(イラン)
【ベスト5】
#11 桜井 良太選手(日本)
#10 Hamed AFAGH ESLAMIEH選手(イラン)
#14 Mohammad Samad NIKKHAH BAHRAMI選手(イラン)
#10 竹内 公輔選手(日本)
#12 Asghar KARDOUSTPOUSTINSARAEI選手(イラン)

最終順位
1位 イラン ※初 (2013年 第27回FIBA ASIA選手権 出場権獲得)
2位 日本 (東アジアサブゾーン)
3位 カタール (湾岸サブゾーン)
4位 フィリピン (東南アジアサブゾーン)
5位 中国 (東アジアサブゾーン)
6位 チャイニーズ・タイペイ
7位 レバノン
8位 ウズベキスタン
9位 マカオ
9位 インド

 鈴木ヘッドコーチ率いる男子日本代表チームが世界に出る戦いは始まったばかりです。本番となるFIBA ASIA 選手権には、実績あるベテランが入り、これから始まるリーグ戦で揉まれた若い選手たちも台頭するであろう各国は、今年とはまた違ったチームになって襲いかかってきます。今年度の日本代表活動はこれで終わりますが、所属チームに戻ってからもさらに切磋琢磨し、成長を誓う選手たち。

 「すぐにJBLは開幕します。僕はチャンピオンチームにいますので、2連覇を目指して頑張ります」と話す#10 竹内 公輔選手と#7 ショーン・ヒンクリー選手が所属するトヨタ自動車アルバルクの「JBL 開幕戦」は、9日間に渡り熱戦を繰り広げた大田区総合体育館にて、10月5日(金)、6日(土)に行われます。
 また、#8 太田 敦也選手(浜松・東三河フェニックス)が所属する「bjリーグ」も同時期に開幕を迎え、成長著しい大学生、#5 田中 大貴選手(東海大学 3年)、#6 比江島 慎選手(青山学院大学 4年)、#15 永吉 佑也選手(青山学院大学 3年)は現在行われている「関東大学リーグ戦」に戻ります。
 各選手たちが所属する国内リーグで、今後も声援を送っていただき、選手たちの成長を促してください。

第27回FIBA ASIA 選手権出場チーム・各サブゾーン出場枠
開催国: レバノン
FIBA ASIA カップ優勝国: イラン
東アジアサブゾーン: 4枠
東南アジアサブゾーン: 3枠
南アジアサブゾーン: 1枠
中央アジアサブゾーン: 1枠
西アジアサブゾーン: 2枠
湾岸サブゾーン: 3枠

 来年2013年、各サブゾーンからの出場国を決め、16カ国によるFIBA ASIA選手権が行われます。日本は8カ国が属する東アジアサブゾーン予選で上位4チームに入って本戦出場を目指し、そしてアジアから上位3チームが出場できる2014年にスペインで開催されるFIBA世界選手権を狙い、今回のFIBA ASIAカップでの悔しい気持ちを忘れずに、世界の舞台を目指してさらなる努力と強化に務めます。
 連日のご観戦ならびにご声援をいただきまして、ありがとうございました。