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平成23年度 U-18男子トップエンデバー開催報告 【第1日目】

2012年3月22日

 日本バスケットボール協会が構築・展開している一貫指導システム「エンデバー」制度。その事業のうち、「平成23年度U-18男子トップエンデバー」が3月9日から11日まで、東京・北区にある味の素ナショナルトレーニングセンターで開催された。参加したのは全国9つの地方ブロックエンデバーから推薦された42名の選手たち。

 初日のメニューは倉石平エンデバーコーチングスタッフ(以下:ECS)による「個人ディフェンス」の練習。ボールマンディフェンスの正確な構えから始まり、ディナイディフェンス、ピストルスタンスでのポジショニング、スライドステップやボールマンがドリブルを止めたときの「スティック」と呼ばれる動き方など、基本的なことを中心に約2時間、選手たちは汗を流した。

 エンデバー委員会・副委員長でもある山本明ECSは、ディフェンスの構えと行った基本から練習したことについて、「構え自体がすべての動きの源であるし、スタンスのないディフェンスは相手に対しても影響力がありません。そういうことを意識させるためには、スタンスを『取り続けること』がディフェンスの基本なのです」と言っている。北海道・札幌日本大学高校2年の三井啓史選手は「高校でやっている練習とは違って、バスケットを始めたころにやっていたような練習で初心にかえったような気持ちです。もちろん自分としてはできていると思うところもありましたが、正直なところ忘れていることもあったので、再確認できてよかったと思います」と述べている。

 小学生、もしくは中学生のころにやっていたであろう姿勢の細かなチェックが、高校生になっても行われる。「本来ならササッと復習して終わらせたいところ」(山本ECS)だが、そうできないのが現状なわけだ。
「今日は倉石ECSが個人ディフェンス、明日は私がチームディフェンスを教えます。これをメニューに入れようというのは、高校生年代の全国大会であるインターハイやウインターカップを見ていても、ディフェンスが日本のバスケットではまだまだ不足しているからです。その意識を高めるためにもディフェンスをテーマにあげてやるべきだと。特に大きな選手がしっかりとできているかをチェックして、彼らに今のレベルはこうだと知らしめる必要があります」

 ウインターカップなどの試合を見ているとしっかり守れているように見えることも、実は運動能力に任せた動きでしかなかった。それではこれから先では通用しなくなる。基本的なところを確実に抑えて、土台を固めなければいけないというわけだ。山本ECSは続ける。
「正直なところ、今からでは遅いところもあります。しかし、遅いけれども今からスタートして、5年後には改善された基礎が身についていなければならないと思っています。」

 ディフェンス練習を終えて、広島・呉武田学園呉港高校2年の堀内竜義選手も先ほどの三井選手と同じように「チームでは今回やったような練習は普段していないのできつかったです。改めて基礎は大事だなと感じました」と言っている。

 個人ディフェンスの練習が終わると、最後は20メートルのスプリントや10メートルの幅を往復するアジリティ、垂直飛びといったフィジカル測定がおこなわれた。さらにそのあと、初日の最後を締めくくったのは「マルチステージテスト」。結果は「マルチのような8割程度の力でずっと走り続けるのは得意」という千葉・柏市立柏高校2年の大崎裕太選手が151回でトップの成績を上げた。その大崎選手は初日の練習について「基本的なディフェンス練習でしたが、それをしっかりやることで1対1の能力も高くなると思って、一生懸命やりました。シュートチェックに行くときにオフェンスよりも先に飛んではいけないと初めて知りましたし、オフェンスとの間合いが腕一本分とはっきりと示してもらって、それをやってみるとすごく守りやすくなりました」と感想を述べている。

 今からでは遅いかもしれないが、遅いからと手を拱いていたのでは次につながらない。未来につなげるために「今やれることは精いっぱいやるという意識で取り組んでいきたいですね」(山本ECS)。